命令は、目の前にいる相手(2人称)に対してなされる表現です。目の前に誰もいないのに命令しても何も起きません。
ドイツ語には敬称の2人称(Sie)と親称の2人称(duとihr)がありますので、それぞれについての命令表現があります。
今回は、Sieに対する命令表現を学びましょう。
Sieに対する命令表現
Sieに対する命令は、動詞とSieをひっくり返します。
- Lesen Sie das Buch! (この本を読んでください。)
あれ、疑問文と同じ形ですね。
- Lesen Sie das Buch? (あなたはこの本を読みますか?)
文末に「!」をつければ疑問文になり、「?」をつければ命令表現になります。疑問文は文末を上げますが、命令文の場合は文末を下げます。
英語の命令文では主語のyouが消えますが、ドイツ語の場合はSieを残しますので、気をつけましょう。
他の例です。
- Schreiben Sie! 書いてください。
- Hören Sie! 聞いてください。
- Sprechen Sie laut! 大きな声で話してください。
- Seien Sie bitte still! どうか静かにしてください。
最後の文にあるように、seinという動詞だけは他の動詞と異なり、「seien」という不規則な形になりますので、注意しましょう。「ザイエン」と発音します。
bitteをつけるとていねいに
英語のpleaseにあたるのがbitteです。これをつけるとていねいになります。bitteの位置は、文頭、文の途中、文末の3つの場合があります。
- Bitte sprechen Sie laut! どうか大きな声で話して下さい。
- Sprechen Sie bitte laut!
- Sprechen Sie laut, bitte!
途中に入れる場合は、文の切れ目や、読んでみて調子の取れるところに入れます。最初はよくわからないかもしれませんんが、そのうち感覚的にわかるようになります。まあ、初心者のうちは忘れないように文頭に置くのがいいかもしれません。
勧誘表現はwirを使って
人を誘う表現も見ておきましょう。英語の「Let's...」にあたる表現です。これはwirを使います。
- Spielen wir Fußball! サッカーをしましょう。
- Gehen wir ins Kino! 映画を見に行きましょう。
- Essen wir auswärts! 外食をしましょう。
英語よりも簡単ですね。
- Spielen wir Fußball?
とすれば、「サッカーをしましょうか?」なので、この「?」を「!」に変えただけですね。<Spielen wir Fußball?>でも勧誘ですが、<Spielen wir Fußball!>はちょっと押しが強くなっています。
例文
- Lernen Sie fleißig Deutsch! まじめにドイツ語を学びなさい。
- Kommen Sie gut nach Hause! 気をつけてお帰りください。
- Essen Sie nicht zu viel! 食べ過ぎないでください。
- Rufen Sie mich bitte morgen noch einmal an! 明日もう一度私に電話してください。
- Sprechen Sie bitte nicht so schnell! そんなに速く話さないでください。
- Heute lernen wir Französisch! 今日はフランス語を学びましょう。
- Gehen wir am Sonntag ins Konzert! 日曜日にコンサートに行きましょう。
- Stehen wir morgen um 5 Uhr auf! 明日は5時に起きましょう。
まとめ
Sieに対する命令表現とwirを使った勧誘表現を学びました。いろんな人に命令したり、いろんな人を勧誘したりしてみましょう。
ところで、
- Essen Sie viel!
は「たくさん食べなさい」なのか、「たくさん食べてください」なのか。<Bitte essen Sie viel!>なら、「どうぞ、たくさんお召し上がりください」でしょうが、Bitteをつけないと、「たくさん食べなさい」と命令口調になるのでしょうか。
僕の感じでは、<Essen Sie viel!>は「たくさん食べてください」でしょうか。口調にもよりますが、bitteをつけなくてもそれほど強い命令にはならないようです。そもそもていねいなSieを使っていますしね。ただ、bitteをつければよりていねいになることは確かです。
次は親称の2人称(duとihr)に対する命令形を学びましょう。