不定冠詞と同じように変化する不定冠詞類には、所有冠詞のほか、keinもあります。keinは否定冠詞と言います。
keinの変化
keinはmeinと同じように変化しますが、よく使うのは1格と4格なので、ここではそれだけを見てみましょう。
1格の場合
Das ist kein Computer. (これはコンピュータではありません。)
Das ist keine Tasche. (これはバッグではありません。)
Das ist kein Buch. (これは本ではありません。)
Das sind keine CDs. (これらはCDではありません。)
Computerは男性名詞、Tascheは女性名詞、Buchは中性名詞、CDsは複数名詞です。
これらはseinという動詞の後ろに来ているので、主語ではありませんが、1格です。
男性名詞と中性名詞の場合はkein、女性名詞と複数名詞の場合はkeineです。
なお、最後の文は動詞がsindになっています。これはdasが複数だからというわけではありません。紹介のdasは性・数を超越した存在です。この場合、後ろにくる名詞が複数なら、動詞もそれにひきずられて複数の形になるのです。
4格の場合
Ich habe keinen Hunger. (私はお腹が空いています。)
Ich habe keine Zeit. (私は時間がありません。)
Ich habe kein Geld. (私はお金がありません。)
Ich habe keine Kinder. (私には子供がいません。)
Hungerは男性名詞、Zeitは女性名詞、Geldは中性名詞、Kinderは複数名詞です。
1格と4格で形が変わるのは男性名詞につく場合だけでしたね。だから、ここでもHungerの前にある場合だけkeinenとなり、1格の場合と形が変わっています。後は1格のときと同じです。
keinの使い方
keinは、不定冠詞付きの名詞、冠詞のない複数名詞、物質名詞、抽象名詞を否定する場合に使います。
1.不定冠詞付きの名詞
Das ist ein Computer.(これは1台のコンピュータです。)
→ Das ist kein Computer.(これはコンピュータではありません。)
2.冠詞のない複数名詞
Ich habe Kinder.(私には子供がいます。)
→ Ich habe keine Kinder.(私には子供がいません。)
3.物質名詞
Das ist Wasser.(これは水です。)
→ Das ist kein Wasser.(これは水ではありません。)
4.抽象名詞
Ich habe Zeit.(私には時間があります。)
→ Ich habe keine Zeit.(私には時間がありません。)
これらの場合には、
× Das ist ein Computer nicht.
× Ich habe Kinder nicht.
のようにnichtを使って否定しません。
名詞があれば、それにkeinがついて否定すると覚えておきましょう。
ただし、定冠詞や所有冠詞がついた特定の名詞を否定するときは、keinではなく、nichtを使います。
Das ist nicht der Computer des Lehrers.(これはその先生のパソコンではありません。)
Das ist nicht meine Tasche.(これは私のバッグではありません。)
練習問題
あなたに対する質問です。jaかneinで答えて下さい。
- Haben Sie ein Fahrrad?
- Haben Sie eine Waschmaschine?
- Haben Sie einen Computer?
- Haben Sie einen Hund?
- Haben Sie eine Katze?
- Haben Sie ein Auto?
- Haben Sie einen Fernseher?
- Haben Sie jetzt Zeit?
- Haben Sie jetzt Durst (m)?
まとめ
まあ、あまり難しく考えず、英語の、
私には友人がいない。 → I have no friends.
私は時間がない。 → I have no time.
のnoにあたる表現だと考えておきましょう。
練習問題解答例
- Nein, ich habe kein Fahrrad.
- Ja, ich habe eine Waschmaschine.
- Ja, ich habe einen Computer.
- Nein, ich habe keinen Hund.
- Nein, ich habe keine Katze.
- Ja, ich habe ein Auto.
- Ja, ich habe einen Computer.
- Nein, ich habe jetzt keine Zeit.
- Nein, ich habe jetzt keinen Durst.
不定冠詞がついていれば、何も考えずにそのまま繰り返すか、k-をつけて使えばいいので難しくありませんね。でも、8番や9番のようなZeitやDurst(喉の渇き)のような不定冠詞のつかない名詞の場合は、その名詞の性をしっかりおぼえていないと、keinをどんな形にすればいいのかわからなくなります。
でも、抽象名詞では次の例を覚えておけば、たいていは事足ります。
Ich habe keinen Hunger.
Ich habe kenen Durst.
Ich habe keine Zeit.
Ich habe kein Geld bei mir.
最後の文は、「私はお金の持ち合わせがありません」という意味です。<bei mir>で、自分の手元にという意味になります。<Ich habe kein Geld>だけだと、家にもないような感じとなり、ちょっと悲惨なことになります。