今回は、不定詞句、語順、疑問文について学びます。
ドイツ語の文では単語がどう並んでいるのかがわかります。
不定詞句
kommenやwohnenのように、-enで終わる形、辞書に載っている動詞の形を、不定詞と呼びました。
不定詞にほかの語がくっついたものを、不定詞句と言います。たとえば、
- aus München kommen (ミュンヒェン出身である)
- in Berlin wohnen (ベルリンに住んでいる)
- Klavier spielen (ピアノを弾く)
などです。最後の不定詞句、Klavier spielenは、「クラヴィーア シュピーレン」と発音します。
注意しなければならないのは、不定詞が常に最後に置かれるということです。
英語では、「ピアノを弾く」は
- play the piano
と表記しました。動詞の原形を最初におきました。辞書にも熟語として、play the pianoという語順で載っていたりします。外国語って日本語と逆なんだって思っていたものです。
でもドイツ語では、
- Klavier spielen
と、動詞の不定詞は常に最後です。「ピアノを弾く」という日本語と同じ語順です。「今日ピアノを弾く」は、
- heute Klavier spielen
となり、やはり日本語と同じです。なお、heute(今日)はホイテと発音します。
このように、ドイツ語では不定詞句は、英語とは違い、日本語と同じ語順で並べればいいのです。わかりやすくていいですね。
不定詞句からは文をどんどん作ることができます。
- Ich spiele Klavier. (私はピアノを弾きます。)
- Paul spielt Klavier. (パウルはピアノを弾きます。)
- Anna spielt Klavier. (アンナはピアノを弾きます。)
といった具合です。この場合は、動詞は主語に応じて変化します。定動詞と言いましたね。なお、PaulやAnnaは3人称です。動詞は、erが主語のときと同じ変化になります。
練習問題1
次の不定詞句を使って、文を作りましょう。人称代名詞と動詞の形に気をつけましょう。練習問題の解答は末尾にあります。
- Deutsch lernen (ドイツ語を学ぶ)
- Kaffee trinken (コーヒーを飲む)
- Fußball spielen (サッカーをする)
- Musik hören (音楽を聴く)
- Comics lesen (マンガを読む)
- 私たちはドイツ語を学びます。
- 彼女はコーヒーを飲みます。
- 彼はサッカーをします。
- 私は音楽を聴きます。
- 彼らはマンガを読みます。
通常の文(平叙文)
ドイツ語のいろいろな文の語順を見てみましょう。最初は普通の文です。
- Ich wohne jetzt in Hamburg.
- Jetzt wohne ich in Hamburg.
- In Hamburg wohne ich jetzt.
訳すと、それぞれ次のようになります。jetzt(イェッツト)は、「今」という意味です。
- 私は今ハンブルクに住んでいます。
- 今、私はハンブルクに住んでいます。
- ハンブルクに私は今住んでいます。
最初の文は、「主語+動詞」という語順になっています。まあ、一番普通の文です。
不定詞句は、jetzt in Hamburg wohnen(今ハンブルクに住んでいる)のように、動詞を一番最後に持ってきましたが、実際の文では定動詞(主語に応じて変化した動詞)は、2番目の位置に置きます。wohneが2番目に来ていますね。
このように、ドイツ語の文では定動詞は2番目の位置に置くという大原則があります。これを定動詞第2位の原則といいます。
でも、英語だって「S+V」だから、動詞が2番目で同じじゃないか、そんなにたいした原則とも思えない、と思うかもしれません。
では、2番目の文を見てください。jetzt(今)が文頭に来ています。この場合も、定動詞はちゃんとおりこうに第2位に来ていますね。主語のichは後ろに追いやられて、3番目の位置です。
つまり、ドイツ語では、英語と違って主語は動詞の後ろでもいいのです。とにかく定動詞を2番目の位置に置きさえすればいいのです。
3番目の文を見てください。ここでは、in Hamburgが文頭に出ています。こんなものまで文頭に持ってくることができるのです。in Hamburgは前置詞句で切り離せませんから、これ全体で1つと数えます。するとやはり、定動詞のwohneが2番目の位置ということになります。
日本語訳を見てください。「住んでいます」が最後に来ていますが、文頭に来ているのは、「私は」「今」「ハンブルクに」と、ドイツ語と一緒です。つまり、ドイツ語や日本語は好きな語から文を始めることができるのです。ドイツ語の場合は、定動詞第2位の原則を守りさえすればよく、日本語の場合は述語を文末に置きさえすればいいのです。この点、英語の方が「S+V」という大原則があって、不自由であると言えます。
疑問詞を使わない疑問文
疑問文は、定動詞を文頭に出して作ります。ja(ヤー)とnein(ナイン)のいずれかで答えます。
Kommen Sie aus Japan?
- Ja, ich komme aus Japan.
- Nein, ich komme nicht aus Japan?
意味は、
あなたは日本から来ましたか?
- はい、私は日本から来ました。
- いいえ、私は日本から来ていません。
となります。疑問文自体は、英語のdoやdoesを使った疑問文よりも簡単ですね。
否定する場合、英語のnotに当たるnicht(ニッヒト)を使います。
次はduを使った疑問文です。
Kommst du aus Deutschland?
- Ja, ich komme aus Deutschland.
- Nein, ich komme aus Österreich.
君はドイツから来たの?
- うん、ドイツから来たんだ。
- いや、オーストリアからだよ。
duだと、友達のように気さくになります。
練習問題2
ドイツ語にしましょう。「あなたは」はSieを、「君は」はduを使ってください。
- あなたはドイツ語を学んでいますか?
- あなたはコーヒーを飲みますか?
- 君はサッカーをする?
- 君は音楽を聴く?
疑問詞を使った疑問文
疑問詞を使った疑問文では、疑問詞を文頭に持ってきて、定動詞は第2位に置きます。
- Wie heißen Sie? (あなたは何という名前ですか?)
- Woher kommen Sie? (あなたはどこから来ましたか?)
- Wo wohnen Sie? (あなたはどこに住んでいますか?)
答えるときは、jaやneinは使わないで、
- Ich heiße Thomas Müller. (私はトーマス・ミュラーと言います。)
- Ich komme aus Frankfurt. (私はフランクフルト出身です。)
- Ich wohne in Heidelberg. (私はハイデルベルクに住んでいます。)
とします。
補足
ところで、<Kommst du aus Deutschland?>に答える場合ですが、
のように答えてもいいのでしょうか。
これはちょっと不完全な文です。<Kommst du aus Deutschland?>の答えとして、
などが考えられますが、<ich komme>で終わるのは不自然です。<ich komme>を言ったら、aus Deutschlandまで言い切りましょう。
否定する場合も、<Ich komme nicht>では不十分です。
にしなければなりません。でも、これで終わるといかにも無愛想です。あんたとは話したくないと言っているようです。(Österreich:エスターライヒ、オーストリア)
と答えるとちゃんとしたコミュニケーションになっています。
- Ja, ich komme.
- Nein, ich komme nicht.
のように答えてもいいのでしょうか。
これはちょっと不完全な文です。<Kommst du aus Deutschland?>の答えとして、
- Ja.
- Ja, ich komme aus Deutschland.
- Ja, aus Deutschland.
- Ja, aus München.
などが考えられますが、<ich komme>で終わるのは不自然です。<ich komme>を言ったら、aus Deutschlandまで言い切りましょう。
否定する場合も、<Ich komme nicht>では不十分です。
- Nein.
- Nein, ich komme nicht aus Deutschland.
にしなければなりません。でも、これで終わるといかにも無愛想です。あんたとは話したくないと言っているようです。(Österreich:エスターライヒ、オーストリア)
- Nein, ich komme nicht aus Deutschland. Ich komme aus Österreich.
- Nein, Ich komme aus Österreich.
- Nein, aus Österreich.
と答えるとちゃんとしたコミュニケーションになっています。
まとめ
今日学んだことをまとめておきます。
- 不定詞句: aus München kommen
- 平叙文: Ich komme aus München.
- 疑問文: Kommen Sie aus München?
- 疑問詞のある疑問文: Woher kommen Sie?
動詞の位置をしっかり確認しておきましょう。
練習問題解答
練習1
- Wir lernen Deutsch.
- Sie trinkt Kaffee.
- Er spielt Fußball.
- Ich höre Musik.
- Sie lesen Comics.
練習2
- Lernen Sie Deutsch?
- Trinken Sie Kaffee?
- Spielst du Fußball?
- Hörst du Musik?