前置詞の中には、3・4格支配の前置詞というものもあります。これは、あるときは3格、あるときは4格をとる前置詞です。後ろに3格が来ている場合と4格が来ている場合とでは意味が違うので注意しなければなりません。
3・4格支配の前置詞
an → at
auf → on
hinter → behind
in → in, into
neben → next to
über → over
unter → under
vor → before
zwischen → between
3格をとる場合と4格をとる場合の違い
前置詞の後ろに3格が来た場合と4格が来た場合で、どう意味が違ってくるのでしょうか。
Er wohnt in der Stadt. 彼は町に住んでいます。
Er geht in die Stadt. 彼は町へ行きます。
inという3・4格支配の前置詞が使われています。
上の文では、inの後ろにdie Stadtの3格、der Stadtが来ています。下の文では、inの後ろには、die Stadtと4格が来ています。
上の文は、彼が住んでいる場所を伝えています。下の文は彼の移動の方向を伝えています。こんなふうに、3・4格支配の前置詞は、3格の場合は存在の場所や何かしている場所を、4格の場合は運動の方向を表します。3格は場所、4格は方向と覚えておきましょう。
訳の方も、「町に」と「町へ」となっていますね。
もう一つ例を挙げましょう。
Die Katze ist unter dem Tisch. → 猫はテーブルの下にいる。
Die Katze geht unter den Tisch. → 猫はテーブルの下へ行く。
今度はunter(~の下)という前置詞です。Tischは男性名詞なので、dem Tischは3格、den Tischは4格です。3格の場合は、猫がどこにいるのかを、4格の場合はどこへ移動するのかを伝えています。
3格の場合は「~の下に」と訳し、4格の場合は「~の下へ」と訳すとわかりやすいです。
定冠詞との融合形
よく使う融合形には次のようなものがあります。
in + dem → im
in + das → ins
an + dem → am
an + das → ans
練習問題
訳しましょう。
- Tina stellt den Tisch ans Fenster.
- Der Tisch steht am Fenster.
- Hans legt ein Buch auf den Tisch.
- Das Buch liegt auf dem Tisch.
- Ich nehme das Buch in die Hand.
- Gehen wir unter den Baum!
- Wir fahren morgen ans Meer.
まとめ
ややこしいですね。
最初に表で3・4格支配の前置詞を示したとき、
an ~のそば
auf ~のうえ
のように意味を書きました。それは3格が来るか、4格が来るかで意味が違ってくるからです。
3格が来た場合:~のそばに、~の上に
4格が来た場合:~のそばへ、~の上へ
となります。
でも日本語に惑わされないようにしましょう。日本語なら「町へ行く」ではなく、「町に行く」とも言えますから。
3格は場所、4格は方向、大事なのはこれです。
練習問題解答
- ティーナはテーブルを窓のそばに置く。
- そのテーブルは窓のそばにある。
- ハンスは一冊の本をテーブルの上に置く。
- その本はテーブルの上にある。
- 私はその本を手に取る。
- あの木の下に行きましょう!
- 私たちは明日海に行きます。
1番と2番と7番:融合形が使われています。
1番と2番:stellen(立てる、置く)とstehen(立っている、ある)は対になる動詞です。
3番と4番:legen(横たえる、置く)とliegen(横たわっている、ある)も対になる動詞です。
5番:本が手の中へ移動します。
7番:「海に行く」は、ans Meer fahrenです。海に行っていきなり中に飛び込むのなら、ins Meerとなるでしょうが、「海に行く」といっても正確には「海のそばに行く」ということなので、anを使います。湖岸に行く場合も同様です。