不定冠詞の格変化

2020/06/19

文法

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今回は、不定冠詞(ein)の格変化について学びます。定冠詞だけでなく、不定冠詞も格変化します。

不定冠詞の格変化


不定冠詞は次のように格変化します。

男性(m)女性(f)中性(f)
1格「~は」ein Manneine Frauein Kind
2格「~の」eines Manneseiner Fraueines Kindes
3格「~に」einem Manneiner Fraueinem Kind
4格「~を」einen Manneine Frauein Kind

不定冠詞は意味が基本的に「一つの」なので、複数名詞につくことはありません。

男性名詞につく場合は、ein、eines、einem、einenです。
だいたい定冠詞と同じような語尾となっていますね。定冠詞は、der、des、dem、denでしたから、不定冠詞も、einer、eines、einem、einenだったら、覚えやすいのにと思うのですが、残念ながらそうはなっていません。1格はeinで語尾がついていません。

女性名詞につく場合は、eine、einer、einer、eineです。定冠詞はdie、der、der、dieでしたから、-e、-er、-er、-eと語尾は同じです。

中性名詞につく場合は、ein、eines、einem、einです。語尾だけを見ると、-、-es、-em、-です。1格と4格のところだけ何もついていません。

ということで、定冠詞の格変化と比べてみると、男性の1格、中性の1格と4格のところで語尾が何もついていません。

定冠詞derが「その」という意味であるのに対して、不定冠詞は「一つの」という意味です。
der Mannなら「その男は」ですが、ein Mannなら「一人の男は」です。eines Mannesは「一人の男の」です。

いくつか例文を見てみましょう。

  1. Da steht ein Kind.                 (あそこに一人の子供が立っています。)
  2. Das ist die Tasche einer Frau. (これはある女性のバッグです。)
  3. Ich danke einem Mann.           (私はある男性に感謝します。)
  4. Ich liebe eine Frau.                (私はある女性を愛しています。)

1番:Kindは主語になっていますから、1格です。
2番:文頭のdasは後ろに名詞がありませんから、定冠詞のdasではなく、指示代名詞のdasです。「これは」という意味です。「これは~です」と何かを紹介するのに使うので、紹介のdasと呼ばれます。einer Frauは2格です。前にあるdie Tascheにかかっています。不定冠詞は「一つの」だけでなく、「ある~」という意味にもなります。
3番:Mannは3格。
4番:Frauは4格。

覚える

上記の表から不定冠詞だけを取り出すと次のようになります。

男性(m)女性(f)中性(f)
1格eineineein
2格eineseinereines
3格einemeinereinem
4格eineneineein

後はこれを覚えていくだけですね。

アイン、アイネス、アイネム、アイネン
アイネ、アイナー、アイナー、アイネ
アイン、アイネス、アイネム、アイン

けっこう調子がいいです。
複数形につくことがないので、定冠詞よりは楽です。

練習問題

正しい不定冠詞を入れましょう。

  1. Ich habe                  Schwester.
    私には姉が一人います。
  2. Max ist der Sohn                  Lehrers.
    マックスはある教師の息子です。
  3. Ich schreibe dem Mann                  E-Mail (f).
    私はその男にメールを書きます。
  4. Wohnt hier                  Lehrerin?
    ここに女の先生が住んでいますか?
  5. Er schenkt die Tasche                  Koreanerin.
    彼はそのバッグをある韓国人女性に贈ります。
  6. Das Buch schenke ich                  Koreaner.
    この本を私はある韓国人男性に贈ります。
  7. Das ist die Uhr                  Freundes.
    これはある友人の時計です。

まとめ

今回は不定冠詞の格変化について学びました。定冠詞にしろ、不定冠詞にしろ、英語と比べると驚くほど複雑ですね。でも、このややこしいところがドイツ語の楽しさでもあります。

定冠詞と不定冠詞の格変化はいろいろな変化の基本ですから、しっかり覚えておきましょう。

練習問題解答

  1. Ich habe eine Schwester.
  2. Max ist der Sohn eines Lehrers.
  3. Ich schreibe dem Mann eine E-Mail.
  4. Wohnt hier eine Lehrerin?
  5. Er schenkt die Tasche einer Koreanerin.
  6. Das Buch schenke ich einem Koreaner.
  7. Das ist die Uhr eines Freundes.

1番:Schwesterは女性名詞、「一人の姉を」ですから4格です。女性名詞の4格につく不定冠詞はeineです。
2番:Lehrersは男性名詞の2格。
3番:dem Mannは3格で「その男に」。E-Mailは女性名詞で「メールを」なので4格。
4番:Lehrerinは主語になっているので、1格。
5番:die Tascheは「そのバッグを」で4格。「ある韓国人女性に」が3格
6番:das Buchは文頭に来ていますが、4格です。ドイツ語ではこんなふうに主語以外の要素が文頭に来ることができるんでしたね。日本語と同じです。einem Koreanerが3格。
7番:文頭のdasは紹介のdasです。eines Freundesは2格です。

補足

練習問題の最後の文、

  • Das ist die Uhr eines Freundes.

のdie Uhrは何格なんでしょう?
他にも似たようなのが今回は出てきました。

  • Max ist der Sohn eines Lehrers.

のder Sohnは何格なんでしょう?
Sohn(息子)は男性名詞なので、derがついているということは1格です。
でも、上の文は「マックスはある教師の息子です。」という意味です。der Sohnは主語ではありません。「息子は」ではありません。どうして1格の定冠詞がついているんでしょうか。

実は、seinの後ろに来る名詞は1格ということになっています。

  • Der Mensch ist ein Tier.(人間は動物である。)

この文ではder Mensch(人間は)が主語です。ではein Tierは? 「動物に」でも、「動物を」でもありません。seinは「~に」「~を」などの目的語を取る動詞でないのです。その意味で普通の動詞とちょっと違っています。

上の文は、

  • der Mensch  = ein Tier

ということを表しています。der Mannが1格なので、ein Tierも同格と考えられます。それで1格ということになっているのです。

seinのほかに、werden(~になる)という動詞の場合も同じです。

  • Er wird Arzt.(彼は医者になります。)

er(彼は)は主語で1格です。er = Arztではありませんが、だいたいそのようなものなので、Arztは1格です。なお、Arztに冠詞がありませんが、ドイツ語では職業を表す場合、名詞には冠詞をつけないのです。

seinやwerdenの後ろに来る名詞は1格と覚えておきましょう。

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