今回は、zu不定詞について学びます。英語のto不定詞に相当します。
zu不定詞の形
動詞の不定詞にzuをつけたものを、zu不定詞と言います。zu不定詞に他の語が加わったものをzu不定詞句と呼びます。
- 不定詞 : gehen 行く
- zu不定詞 : zu gehen 行くこと
- zu不定詞句: nach Hause zu gehen 家に帰ること
分離動詞の場合は、
- 不定詞 : auf|stehen 起きる
- zu不定詞 : aufzustehen 起きること
- zu不定詞句: früh aufzustehen 早く起きること
という変わった形になります。分離する前つづりと基礎動詞の間にzuが入り、全部くっついて一つの単語になります。
zu不定詞の用法
3つの用法があります。
1.名詞的用法「~すること」
まずは「~すること」と名詞のようになります。これが基本です。
- Deutsch zu lernen, ist nicht schwer.(ドイツ語を学ぶのは難しくない。)
- Es ist nicht schwer, Deutsch zu lernen.(ドイツ語を学ぶのは難しくない。)
- Ich habe vergessen, dich anzurufen.(君に電話するのを忘れてしまった。)
最初の文の<Deutsch zu lernen>は「ドイツ語を学ぶこと」で、文章全体の主語になっています。
でもこんなふうにすると、ずいぶん頭でっかちの文になってしまって、バランスが悪いです。それで2つ目の文のように、まずはesを形式的な主語として文頭において、zu不定詞句を最後に置いておくのが普通です。
3つ目の文の<dich anzurufen>は「君に電話すること」です。an|rufenという分離動詞のzu不定詞です。この不定詞句はvergessenの目的になっています。「君に電話することを」です。
2.付加語的用法「~するための、~するという」
これは不定詞句が他の名詞にかかっていく用法です。
- Ich habe keine Zeit, Deutsch zu lernen. (ドイツ語を学ぶ時間がない。)
- Ich habe keine Lust, ins Kino zu gehen. (映画に行く気はない。)
- Ich habe kein Geld, eine Reise zu machen.(旅行をするお金はない。)
最初の<Deutsch zu lernen>は、Zeitという名詞にかかっています。「ドイツ語を学ぶための時間」です。
次の<ins Kino zu gehen>は、Lust(気持ち)にかかっています。「映画に行くという気持ち」です。
最後の<eine Reise zu machen>は、Geldにかかっています。「旅行をするためのお金」です。
次のような文もよく使われます。
- Hast du etwas zu essen? (何か食べるものある?)
- Hast du etwas zu trinken? (何か飲むものある?)
- Ich habe nichts zu essen. (食べるものは何もない。)
- Ich habe nichts zu trinken.(飲むものは何もない。)
これは<zu essen>や<zu trinken>というzu不定詞が、etwas(何かある物)やnichts(何も~ない)にかかっています。
<etwas zu essen>で「食べ物」、<etwas zu trinken>で「飲み物」と覚えてしまってもいいでしょう。
レストランでウェイターが言う、
- Und zu trinken?(で、お飲み物は何になさいますか?)
の<zu trinken>は<etwas zu trinken>のことです。
3.um... zu... (~するために)など
zu不定詞句が「~するために」などのように、副詞的に使われる場合は、zu不定詞句にumなどの前置詞をくっつけます。3つあります。
(1) um... zu...(~するために)
- Ich fahre nach Deutschland, um Deutsch zu lernen.
意味は、「私はドイツ語を学ぶためにドイツに行きます」です。コンマがあってumが来たら、um... zu...の構文だなと予想するようにしましょう。
(2) ohne... zu...(~することなしに)
- Er fährt nach Deutschland, ohne Deutsch zu lernen.
意味は、「彼はドイツ語を学ぶことなしにドイツに行く」です。「彼」は勇気のある人です。ohneは「~なしに」という意味の前置詞でしたね。
(3) statt... zu...(~するかわりに)
- Tina sieht fern, statt ins Kino zu gehen.
意味は、「ティーナは映画に行くかわりにテレビを見る」です。fern|sehenという分離動詞が使われています。stattは「~のかわりに」という意味の前置詞でした。
練習
訳しましょう。3つの用法が使われています。
- Viel Gemüse zu essen, ist gesund.
- Es ist verboten, hier zu rauchen.
- Ich habe vor, ins Schwimmbad zu gehen.
- Er verspricht mir, die Wahrheit zu sagen.
- Ich habe viel zu tun.
- Gibt es die Möglichkeit, das Mädchen kennenzulernen.
- Lena hatte die Gelegenheit, einen Porsche zu fahren.
- Ich fahre zum Bahnhof, um meinen Bruder abzuholen.
- Felix schreibt ihr eine E-Mail, statt sie anzurufen.
まとめ
今回はzu不定詞やzu不定詞句の形、またその用法について学びました。
zu不定詞句は、英語とドイツ語では表記の仕方が大きく違います。
- 英語 : to learn German
- ドイツ語: Deutsch zu lernen
ドイツ語の場合は、不定詞句Deusch lernenのlernenの前にzuを入れればいいんでしたね。
zu不定詞の用法は3つありました。1つ目の名詞的用法が基本で、2つ目の付加語的用法はとりあえず、ここに出てきた文だけを覚えておけば日常生活では結構事足ります。3つ目は、<um... zu...>(um zuと覚えましょう)が使えればそれで十分かもしれません。
練習問題解答
- たくさんの野菜を食べるのは健康的だ。
- ここで煙草を吸うのは禁止されている。
- 僕はプールに行く予定だ。
- 彼は私に真実を言うと約束する。
- 私は忙しいの。
- その女の子と知り合う可能性はあるかな。
- レーナにはポルシェを運転する機会があった。
- 私は弟を迎えに駅に行く。
- フェリックスは彼女に電話するかわりに、メールを書く。
5番:zu tunは、viel(たくさん)にかかっていきます。「するためのたくさんを持っている」→「することがたくさんある」
6番:<es gibt + 4格>は、「~がある、存在する」
7番:ここでのfahrenは他動詞(4格目的語をとる動詞)。Porscheは男性名詞。Wagen(車)が男性名詞だからです。