前回は、再帰代名詞sichについて学びました。今回は再帰動詞をやります。
再帰動詞とは、再帰代名詞と結びついて一つの意味を表す動詞のことです。3格の再帰代名詞を取る再帰動詞と、4格の再帰代名詞を取る再帰動詞があります。後者のほうが圧倒的に多いので、後者から始めます。
4格の再帰代名詞を取る再帰動詞
たとえば、setzen(座らせる)という動詞は、sichといっしょになって、
- sich setzen(座る)
という意味になります。
- 自分を(sich)+座らせる(setzen)=座る(sich setzen)
ということです。文になると、
- Er setzt sich auf den Stuhl. (彼はその椅子に座ります。)
- Ich setze mich auf den Stuhl.(私はその椅子に座ります。)
となります。
<sich>は文の前の方に持ってきます。定動詞が2番目という原則は動かせないので、sichは定動詞の後に置かれます。
他の再帰動詞を挙げてみましょう。再帰動詞は、よく特定の前置詞と結びつきます。
- sich freuen über +4 (~を喜ぶ)
- sich freuen auf +4 (~を楽しみにする)
- sich interessieren für +4 (~に興味がある)
- sich erinnern an +4 (~を思い出す)
<sich freuen über...>は現在のことを喜びます。前置詞überは「~について」という意味です。一方、aufは「~を期待して」という意味です。<sich freuen auf...>は未来のことを期待して喜ぶので、「楽しみにする」という意味になります。
erinnernは、「エア・インナーン」とエアで切って発音します。
文にしてみましょう。
- Ich freue mich über das Geschenk. (私はそのプレゼントがうれしいです。)
- Wir freuen uns auf das Wiedersehen. (私たちは再会を楽しみにしています。)
- Interessieren Sie sich für Musik? (あなたは音楽に興味がありますか。)
- Ja, ich interessiere mich für Musik. (はい、私は音楽に興味があります。)
- Ich erinnere mich oft an meine Kindheit. (私はよく子供時代を思い出します。)
erinnereは、「エア・イネレ」と発音します。
辞書では?
辞書では、再帰動詞には(再)と書かれています。「setzen(再)」と書かれていたら、必ずsichと一緒に使わなければなりません。sich setzenで初めて、「座る」という意味になります。
3格の再帰代名詞を取る再帰動詞
これはあまり数が多くありません。たとえば、
- sich die Zähne putzen (歯を磨く)
- sich + 4格 + vor|stellen (~を思い浮かべる)
- sich + 4格 + merken (~を覚えておく)
です。
数が少ないので、熟語として覚えておきましょう。
例文です。
- Er putzt sich die Zähne. (彼は歯を磨く。)
- So was kann ich mir nicht vorstellen.(そんなことは私は想像できません。)
- Das müssen wir uns merken. (私たちはそれを覚えておかなければなりません。)
3格のsichが主語に応じて変化しているので気をつけましょう。
補足
setzenを辞書で引くと、再帰動詞のほかに、他動詞ともされています。他動詞の場合の意味は、「~を座らせる」です。他動詞とは、4格目的語を取る動詞のことです。4格目的語を取らない動詞は、自動詞と呼ばれます。たとえば、
- Ich setze ihn auf den Stuhl.(私は彼をその椅子に座らせる。)
のsetzenは他動詞として使われています。ihnが4格目的語です。
- Ich setze mich auf den Stuhl.(私はその椅子に座る。)
と、再帰動詞を使うと、他動詞が自動詞のようになります。
まとめ
再帰動詞って、sichと一緒に使わなければならないので、面倒です。話すときに、うっかり忘れてしまいそうですね。
とりあえず、
- sich freuen über +4
- sich freuen auf +4
- sich interessieren für +4
- sich die Zähne putzen
という不定詞句と、ichを主語とした文、
- Ich freue mich über das Geschenk.
- Ich freue mich auf die Sommerferien.
- Ich interessiere mich für Musik.
- Ich putze mir die Zähne.
を何度もつぶやいておきましょう。Sommerferienは「夏休み」のことです。
注意
ここでは不定詞句を、<sich freuen über +4>という形式で記述しました。
sich über +4 freuen
のように不定詞を最後に持ってくるのが正式な記述の仕方です。
でも、これでは覚えにくいんですよね。それで、僕は<sich freuen über>とつぶやくようにしています。これなら調子よく覚えられます。