今回は、現在完了の作り方について学びます。また、過去形と現在完了の使い分けについても学習します。
完了形の作り方
haben + 過去分詞
英語では、haveを助動詞として完了形を作りました。ドイツ語では、完了の助動詞としてhabenを使う場合と、seinを使う場合があります。
- Ich habe gestern Deutsch gelernt.(私は昨日ドイツ語を勉強しました。)
- Hast du gestern Deutsch gelernt?(君は昨日ドイツ語を勉強した?)
平叙文ではhabenを定動詞として第2位に置きます。habenが人称変化を担い、本動詞は過去分詞にして文末に置いておきます。
疑問文では、habenが文頭に出ます。やはり、過去分詞は文末です。
sein + 過去分詞
次はseinを完了の助動詞とする完了形の例です。
- Er ist nach Hause gekommen.(彼は家に帰ってきました。)
- Ist er nach Hause gekommen.(彼は家に帰ってきましたか?)
seinを使う場合も、語順はhabenの場合と同じです。seinが定動詞となって人称変化を引き受けています。
habenとseinのどちらを使うのか
完了形を作るとき、habenを使うのかseinを使うのかは、動詞ごとに決まっています。ある動詞はhabenを使い、ある動詞はseinを使います。
habenを使う動詞をhaben支配の動詞といい、seinを使う動詞をsein支配の動詞といいます。「支配」なんて、恐ろしげな命名ですね。そんなにたいしたことはないんですけどね。
habenを使ったり、seinを使ったりと、英語と比べると面倒だな、と思うかもしません。面倒なのは確かなのですが、それほどではありません。なぜなら、大半の動詞はhaben支配だからです。
habenとseinの使い分けは次のようになっています。
- haben支配の動詞: 他動詞の全部と自動詞の大部分
- sein支配の動詞 : 自動詞の一部
・場所の移動を表す動詞 ー gehen, fahren, kommenなど
・状態の変化を表す動詞 ー werden, sterben, auf|stehen, ein|schlafenなど
・その他 ー sein, bleibenなど
う~む、こうして改めて書き出してみると結構面倒ですね。
まあ、こだわりのない人は、
- だいたいhabenで、seinは少しだけ
と覚えておきましょう。少しこだわりのある人は、
- 他動詞は全部haben、自動詞もほとんどhaben
- 自動詞の中で「行く」とか「来る」みたいに場所の移動を表すものだけsein
程度に覚えておけば十分です。他動詞とは、4格目的語をとる動詞のことでしたよね。
なお、ものすごくこだわる人は、
- 場所の移動と状態の変化を表す動詞はseinなんだな
と、状態の変化の方にも注目しておきましょう。werden(なる)、sterben(死ぬ)、auf|stehen(起きる)、ein|schlafen(眠り込む)など、みんなある特定の状態から別の状態へと変化することを表す動詞です。「死ぬ」も確かに状態の変化だな、としみじみ思ったりしましょう。
辞書では?
辞書では、完了形を作るときにhabenとseinのどれを使うのかが、それぞれの動詞ごとに明記してあります。たとえば、
- lernen(他)(完了)haben
のように。(他)は他動詞のことです。
どちらを使えばいいのかわからなかったら、必ず辞書で確認しましょう。
練習問題
訳しましょう。
- Was hast du dort gekauft?
- Gestern habe ich in einem Supermarkt gejobbt.
- Vorgestern hat er Alex getroffen.
- Herr Meier hat ihm die Stadt gezeigt.
- Heute bin ich zu Hause geblieben.
過去形と完了形の使い分け
ところで、「私は昨日ドイツ語を勉強しました」をドイツ語で言う場合は、
- Ich lernte gestern Deutsch.
と過去形を使うこともできますし、また、
- Ich habe gestern Deutsch gelernt.
と現在完了形を使うこともできます。どう使い分ければいいのでしょうか。
- 物語では過去形を使う
- 日常会話では現在完了形を使う
と覚えておきましょう。過去形を使うと、現在の自分と切り離して別の世界のことのように、つまり、物語のように出来事を語る感じになります。だから、過去形の場合は、
私は昨日ドイツ語を3時間勉強した。それから外出し、ハンスと会った。私たちは喫茶店に行き、ドイツ語文法について長々と語り合った。
のような感じになります。
それに対して完了形は、現在の自分とつながっています。
私さ、昨日、ドイツ語3時間勉強したのよ。それから外出して、ハンスと会ったわ。喫茶店に行って、ドイツ語文法について長々と話したんよ。
みたいに、実際に誰かと喋っている感じです。
ということで、日常生活において過去のことを話すときは、完了形を使うようにしましょう。
例外
ただし、sein、haben、話法の助動詞などは過去形を使う方が普通です。
- Ich bin gestern im Kino gewesen.(私は昨日映画館にいた。)
- Ich war gestern im Kino.
- Ich habe gestern keine Zeit gehabt.(私は昨日時間がなかった。)
- Ich hatte gestern keine Zeit.
- Ich habe gestern Tennis spielen können.(私は昨日テニスをすることができた。)
- Ich konnte gestern Tennis spielen.
上の文が現在完了で、下の文が過去形で表現されていますが、どれも意味は同じです。上の文って、わかりにくい上に面倒くさいですよね。
最初の例の上の文は、binが完了の助動詞seinで、gewesenは動詞seinの過去分詞です。動詞seinはseinを完了の助動詞として取るのです。ややこしい!
二つ目の例の上の文は、habeが完了の助動詞habenで、gehabtは動詞habenの過去分詞です。動詞habenはhabenを完了の助動詞とするのです。ややこしい!
三つ目の例の上の文の最後にあるkönnenは、助動詞könnenの過去分詞です。(助動詞の過去分詞は、不定詞と同じ形になります。)話法の助動詞は完了の助動詞としてhabenを取るのです。なんとややこしい!
これらの文を作ろうとすると舌がもつれそうです。頭ももつれそうです。単純に過去形にした方が話す方も話しやすいし、聞く方もわかりやすいですよね。だから、
- sein、haben、話法の助動詞などは過去形を使う方が普通
なのでしょう。
英語の完了形との違い
英語では、完了形は完了・結果、経験、継続などを表すと、ややこしかったものです。また、yesterdayなどのような過去を示す語とは一緒に使えませんでした。
ドイツ語では、そういうややこしいことは考えず、完了は単純に過去を表すために用いると覚えておけば十分です。つまり、「~した」という意味だということです。gesternなどの過去を表す副詞も、完了形の文の中で自由に使うことができます。
まとめ
いつのまにかどんどん複雑になってきました。完了形の基本を思い出しましょう。
- haben + 過去分詞
- sein + 過去分詞
のいずれかになる、ということです。
haben支配の動詞、sein支配の動詞などと分類しましたが、実際には一つ一つの動詞でhabenを使うのか、seinを使うのかを覚えておくしかありません。そのためには、
- Ich habe Deutsch gelernt.
- Ich habe Tennis gespielt.
- Ich bin ins Kino gegangen.
- Ich bin nach Hause gekommen.
- Ich war im Kino.
- Ich hatte keine Zeit.
- Ich konnte Tennis spielen.
などの簡単な文を作って、ぶつぶつつぶやいておけばいいのです。
練習問題解答
- 君はあそこで何を買ったの?
- 昨日僕はスーパーでバイトした。
- おととい、彼はアレックスに会った。
- マイアー氏は彼に町を案内してくれた。
- 今日私は家にいたわ。
bleiben(とどまる)は、場所の移動も、状態の変化も表しませんが、seinやhabenのようにseinを使って完了形を作ります。