今回は名詞の性について学びます。今回は名詞の性について学びます。性というとドキッとしますが、この性は文法上の性のことです。
名詞には3つの性がある
ドイツ語の名詞には性の区別があります。ある名詞は「男性名詞」、別の名詞は「女性名詞」、さらに別の名詞は「中性名詞」というふうに、それぞれの名詞ごとで性が決まっています。
ここでの「性」とは生物上の性とは関係なく、文法上の性です。理由はありません。そう決まっているのです。ドイツ語を使うからには、Wagenは男性名詞、Tascheは女性名詞、Buchは中性名詞であるということを知っていなければなりません。そうでないと、文を作れないのです。
仕方がありません。あきらめて、一つ一つの名詞について、それが男性か、女性か、中性かを覚えておくことにしましょう。
といっても、名詞の数は膨大です。「そんなの覚えきれない!」という声が聞こえてきます。そうです、覚えきれません。
でも、人間に関しては、だいたい生物上の性と文法上の性は一致しています。Lehrer(男の先生)やStudent(男子学生)やFreund(男の友達)は男性名詞です。Lehrerin(女の先生)、Studentin(女子学生)、Freundin(女の友達)は女性名詞です。
これでだいぶ覚えられましたね。あとは物について覚えていくだけです。これはまあ、身近な物から一つ一つ覚えていくことにしましょう。
言い忘れましたが、上の表の中の「m」はmasculine(男性)、「f」はfeminine(女性)、「n」はneutral(中性)の略です。名詞の性を示すためによく使います。
名詞の性と定冠詞
ドイツ語の定冠詞は、der(デア)です。これが辞書に載っている形です。この定冠詞が名詞の性に応じて形が変わります。
男性名詞につくときはderですが、女性名詞につくときはdie、中性名詞の場合はdasとなります。そう、だから名詞の性を覚えておく必要があるんです。Tascheが女性名詞であることを知らないと、der、die、dasのどの定冠詞をつければいいのかわかりません。ということでドイツ語の文が作れなくなってしまうのです。
der(デア)、die(ディー)、das(ダス)と覚えておきましょう。
ところで、定冠詞って「その」と特定のものを指すんでしたね。der Wagenは「その車」、die Tascheは「そのバッグ」、das Buchは「その本」という意味です。
名詞の性と不定冠詞
今度は不定冠詞ein(アイン)について見ていきます。不定冠詞も名詞の性によって形が変わります。
このように、男性名詞につくときはein、女性名詞につくときはeine、中性名詞につくときはeinです。定冠詞の場合とは違って、男性名詞と中性名詞の場合は同じeinです。ここでも、名詞の性を知っていないと、einとeineのどの不定冠詞をつければいいのかがわからなくなってしまいます。
ein(アイン)、eine(アイネ)、ein(アイン)と覚えておきます。
不定冠詞は「ひとつの」の意味が基本です。だから、ein Wagenは「一台の車」、eine Tasche「一つのバッグ」、ein Buchは「一冊の本」ということになります。
名詞の性の見分け方
何か簡単な性の見分け方ってないんでしょうか。一つだけお教えしましょう。
-erで終わる名詞は男性名詞のことが多く、-eで終わる名詞は女性名詞のことが多いのです。
der Lehrer(教師)、der Arbeiter(労働者)、der Maler(画家)
die Blume(花)、die Sonne(太陽)、die Treppe(階段)
あと、-chenがつく名詞は中性名詞です。
das Mädchen(女の子)
「女の子」なのに、中性名詞です。-chenがつく名詞はすべて中性名詞ということになっているからです。
まとめ
名詞の性、ややこしかったですね。名詞には性の区別があるので、名詞を覚えるときは性も一緒に覚えておく必要があります。どうするのか。
子供 → das Kind
車 → der Wagen
バッグ → die Tasche
本 → das Buch
というふうに、定冠詞をつけて覚えておきます。不定冠詞と違って定冠詞は、男性、女性、中性によってみんな形が違うからです。der Wagen、die Tascheと口をついて出るようになれば、Wagenは男性名詞だ、Tascheは女性名詞だ、などとやみくもに覚える必要がありません。
名詞の性は、覚えても、どっちだったかすぐに忘れてしまいます。性がわからないと正しい冠詞をつけることができません。悩ましいものです。僕がドイツ語を習った先生は、「これを性の悩みという」とすましておっしゃってました。うまい! と感心したものです。