天候や時間などを表す場合、英語では主語をitにしました。
たとえば、
- It rains. (雨が降ります。)
- It's ten o'clock. (10時です。)
というふうにです。
このitは何かを受けているのではなく、特に意味はありませんでした。主語がないと文としてカッコ悪いので、まあ、itでも置いとこう、という感じでした。
ドイツ語でこのitに当たるのがesです。これを非人称のesと言います。今回は、非人称のesについて学びます。
非人称のesを使った表現
天候・時間
Es regnet. (雨が降っている。)
Es ist kalt. (寒い。)
Es ist 10 Uhr. (10時です。)
特に説明はいりませんね。esは訳しません。
生理的表現
Es ist mir kalt. (私は寒い。)
Es ist mir übel. (私は気分が悪い。)
非人称のesはだいたい「状態」「状況」と訳してみると意味が通じます。
最初の文は、「状態は私にとって寒い」→「私は寒い」で、次の文は「状態は私にとって不快だ」→「私は気分が悪い」となります。
上の文は、mirが文頭に来るとそれぞれ、
Mir ist kalt.
Mir ist übel.
となって、esが省略されます。mirは3格ですが、主語みたいなもんですからね。
<Mir ist es kalt><Mir ist es übel>のesが省かれるのだと考えましょう。
非人称の熟語
いろいろありますが、まずは次の二つだけ覚えておきましょう。
- Wie geht es Ihnen? (お元気ですか。)
- Es gibt hier keinen Parkplatz. (ここには駐車場がありません。)
最初の文はもう知ってますよね。
- Wie geht es Ihnen? - Danke gut. Und Ihnen?
(お元気ですか? - ありがとう、元気です。あなたは?)
というやつですね。<Guten Tag>などの挨拶の後に続くものです。
二つ目の文は、<es gibt + 4格>で「~がある」という意味になります。存在を表す表現です。これは英語の<There is...>の構文に相当します。
<es gibt...>を直訳すれば、「それは~を与える」という意味です。これで存在を表しています。何がそれを存在させているのか、それはわからないので、まあ、とりあえずesにしとこう、そんな感じですね。
二つ目の文は、hierを文頭に出して、
- Hier gibt es keinen Parkplatz.(ここには駐車場がありません。)
とすることもできます。こちらが普通です。esがgibtの後ろに来るので<es gibt>の構文であることを見落とさないようにしましょう。
練習問題
esに気をつけて訳しましょう。gibt'sはgibt esの短縮された形です。「ギプツ」と発音します。
- Es schneit heftig.
- Draußen ist es sehr heiß.
- Ist Ihnen nicht kalt?
- Im Sommer ist es in Japan sehr schwül.
- Gibt's hier in der Nähe eine Post?
- Was gibt's heute im Fernsehen?
- Gestern hat es einen Unfall gegeben.
まとめ
今回は非人称のesについて学びました。
英語と同じなので、わかりにくいことはないと思います。
なお、<es gibt + 4格>はとても重要です。日常会話でも頻繁に出てきますよ。
練習問題解答
- 激しく雪が降っています。
- 外はとても暑いです。
- あなたは寒くないんですか。
- 夏は日本はとても蒸し暑い。
- この近くに郵便局はありますか?
- 今日テレビで何がある?
- 昨日事故がありました。
2番:draußenが文頭に来ていますが、mirなどはありませんので、esは省略しません。
3番:これはIhnenがありますので、esは省きます。
4番:日本人はschwülを覚えておいたほうがいいかも。
5番:日常会話ではよくgibt'sと短縮されます。
6番:疑問詞のwasは4格です。
7番:完了形になると、<es gibt>のようにつながっていないので、<es gibt>の構文であることを見落としてしまいます。気をつけましょう。