lとrの発音って嫌ですね

2020/03/29

コラム

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日本人にとって、lとrの発音って難しいですよね。これに対してどう対処したらいいのかを考えるために、ヨーロッパ語のlとrの発音を調べてみました。

lの発音

ヨーロッパ語ではlの発音はだいたい同じです。舌の先を上の歯茎に押しつけて「ル」発音します。舌の両側の隙間から息が出ることでこの音となります。

日本語でラとか、ラリルレロとか言ってみると、舌の先を上の歯茎あたりに軽くちょろっと触れて、すぐに引っ込めています。これは後述するようにrの音です。

rの発音

lについてはヨーロッパ語ではほとんど同じと考えてよいのですが、rは言語ごとにいろいろな発音があります。

イタリア語やロシア語:歯茎ふるえ音(巻き舌のr)

一番多いのは、いわゆる巻き舌のrです。巻き舌といっても、実際に舌を巻いているわけではなく、舌の先を高速振動させて音を出します。舌の先っぽを歯茎付近でぶるぶると震わせます。イタリア語やロシア語など多くの言語で使われます。これがr本来の発音で、英語やフランス語やドイツ語のrはそこから派生した例外的なものです。

私は巻き舌のrは発音できませんが、日本人には簡単にできる人もいます。

英語:歯茎接近音

英語のrは巻き舌のrではありません。舌先を上の歯の後ろあたりに近づけ、ちょっと丸めます。舌先をどこにもつけないで音を出します。歯茎接近音と呼ばれます。

フランス語:口蓋垂摩擦音(パリのR音)

フランス語のrは、舌の後ろを持ち上げて、喉ひことくっつけ、喉の奥を狭くして息を擦るようにして出します。口蓋垂摩擦音と言います。口蓋とは口の中の上の部分、口蓋垂とはいわゆる喉ひこのことです。口蓋垂摩擦音は「パリのR音」と呼ばれます。

ドイツ語:口蓋垂ふるえ音

舌の先を口の下につけて、舌の奥の部分を持ち上げ、息の出口を狭くします。息を出して、口蓋垂(喉ひこ)をぶるぶると震わせます。喉の奥の方で出す感じです。水なしでうがいをしているような音です。

日本語:歯茎はじき音

では、日本語のrはどうやって発音しているのでしょうか。舌の先がどう動くかを意識しながら、ラリルレロと言ってみてください。舌の先を上の歯茎あたりではじく、あるいは軽く叩くようにしていますね。歯茎はじき音と言います。

スペイン語:歯茎ふるえ音(巻き舌のr)/歯茎はじき音

スペイン語は巻き舌が強い印象があります。でも、巻き舌のrのほかに、歯茎はじき音もあります。こっちは日本語と同じです。

ポルトガル語:歯茎はじき音

ポルトガル語は歯茎はじき音。ということは日本語のラリルレロと同じになります。

まとめ

以上見てきたように、lはどの言語でも同じなのに、rは実にさまざまです。それに、上に述べたのは基本的にそうだということで、ドイツでも地域によっては、巻き舌のrが使われたり、パリのR音が使われたりします。ポルトガルでも、頻繁にrが巻き舌のrになります。

つまり、rについては、巻き舌にしても、英語のrのように発音しても、喉ひこをぶるぶるさせても通じるのです。要はlとは違う音を出せばよいということです。

ということで、lとrの区別が苦手な人が取る一番簡単な戦略は、lをしっかり発音し、rはラリルレロで通すということです。スペイン語でもポルトガル語でも、rは日本語のラリルレロと同じ歯茎はじき音を使っているのですから、日本人だってラリルレロを使ってもよいはずです。

あるいは、もっと開き直ることもできます。lとrが区別できないとなると、私たち日本人はそれを欠陥ととらえて必死に区別できるようになろうとします。でも、日本語はlとrを区別しない言語なんだ、だからそれを考慮してしっかり聞き取るようにしてね、と相手側に求めることもできます。へぇ~、それは面白いね、と話がはずんでさまざまな言語のlとrのことをあれこれ話すことになるかもしれません。それこそ異文化交流であり、対等な関係というものではないでしょうか。

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